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ベイファンとITエンジニアの狭間で

ベイスターズを応援しながら元気をもらう IT エンジニアのブログ

【ネタバレ無し】『FOR REAL-ベイスターズ、クライマックスへの真実。-』はベイスターズの映像作品最高傑作!

横浜DeNAベイスターズの (ほぼ) 2年ぶりの映像作品となる『FOR REAL-ベイスターズ、クライマックスへの真実。-』の完成披露特別上映・舞台挨拶に行ってきた.

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結論から言うと,「DeNA の映像作品の過去最高傑作」と申し上げて良い内容だった.内容のネタバレにならない程度に,そう思う理由を述べたいと思う.
とにかく,横浜ファンならずとも,野球ファンは映画館で観て欲しい大作だと思う.

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これまでの『ダグアウトの向こう』

ベイスターズはこれまでも,『ダグアウトの向こう』という映像作品を 2012 年から 2014 年に渡ってリリースしていた.
元は球団内部のアーカイブとするためにカメラを回していたのだが,商品化すれば面白いのではないかというアイディアの元,2012年シーズン途中から撮影体制を強化したものだった.
球団の親会社が TBS から DeNA に変わった当初はベンチ裏やロッカールームにカメラマンがいることに戸惑いを隠せなかった選手たちも,2年目以降はカメラの前でも自然に振る舞うようになった,というエピソードは割と知られているのではないだろうか.

2012年の第1作 は,まさに球団の体制が変わった中での暗中模索の具合がよく現れている.緩慢な守備をした荒波翔が試合中盤に交代させられたり,チームがモチベーションを失いそうになる中どう奮起しようとしたのかだったり,今になって思えば「いかにも最下位から脱出しようとしているチーム」という内容だったのだが,その中で中畑清監督をはじめとしたチームが懸命に最初のハードルを乗り越えようとする姿が共感を呼んだのだと思う.
翌年以降の作品と照らし合わせると,どうしても映像素材のボリュームが足りなかったのかな,と思われる部分もあるが,それも「手探りで始まった『ダグアウトの向こう』という作品」の一部だと思う.

2013年の『ダグアウトの向こう 2013』 は,私個人はこれまで一番推している作品だった.
トニ・ブランコ,ナイジャー・モーガン多村仁志が加入することで圧倒的に厚みを増した打線がチームにもたらした希望,チームの将来の中心と誰もが期待をかけた石川雄洋や荒波翔に訪れた試練,守備のほころびから崩れるチーム,すぐそこまで手がかかりかけたクライマックスシリーズ,そして次への希望.このチームの成長物語や,戦いの記録としての起伏があるという意味で見どころが多かった.

2014年の『ダグアウトの向こう 今を生きるということ』 は,それまでの2作とは方向性が変わった作品だった.チームのシーズンを追ったドキュメンタリーとしてではなく,プロ野球選手として生きる選手たちの物語に密着した短編小説集のような構成は,それぞれに心打たれるものはあったものの,映像作品自体の最終盤に向けた高揚感というものの演出という点では物足りなさがあった.
もっとも,前年と同じ5位で終わったシーズンを振り返るだけでは前年の作品と大きな違いが出なくなってしまった可能性は否めなく,それを嫌ったのではないかという推察も行き過ぎではないかもしれない.予告編の映像と本編であまりにも使われているカットが違いすぎるのも,関係しているように私には思えてならない.それでも,前年までと比較して,使われているカットの豊富さ,画質などを見ても明らかに映像作品としてのクオリティは向上していたのは間違いない.

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『FOR REAL』は,まさに胸の熱くなるドラマだった

映像作品が制作されなかった2015年シーズンを経て,2016年の激闘の様子を収めた『FOR REAL-ベイスターズ、クライマックスへの真実。-』はどうだったのか. 一言で言えば,シーズンを戦い抜くドラマの魅力という点で2013年作品を,映像作品のクオリティの高さという点で2014年作品をそれぞれ凌駕した傑作だと思う.

未だ一般公開がされていない段階なので具体的なシーンの記述は避けるが,一番印象的だったのは主将としての筒香嘉智のたくましさだった.
『ダグアウトの向こう』シリーズがリリースされていた 2014 年までの筒香は,寡黙さとあどけなさを持つ若手選手であった.
初めて主将として戦った2015年シーズンも,表舞台では言葉が多くなく,言葉ではなく背中でチームを引っ張ったような印象があった.そのシーズンが映像化されていないのもあってか,『FOR REAL』の作中で筒香が見せるベンチの中やロッカールームでの表情や仕草にはとても良い意味で意外さがあった.

開幕からクライマックスまでのストーリーという意味では,時を経る毎に選手の表情が変わってゆくことにも注目したい.ある選手のある時期のシーンについて,妻が「迷子みたいな顔」と言ったのだが,それぞれの選手の苦しみも,長い時間軸の中での位置づけを理解しながらだとより立体的に見えるものなんだなと思った.

ストーリーの魅力という意味では,2016年のベイスターズが球団史上初のクライマックスシリーズ進出を果たしたのだから,過去最高にドラマチックになるのはある意味当然かも知れない.しかし,過去の作品と比べてもカットのテンポの良さもあり,非常に内容の濃い作品になっていたのは特筆すべきだと思う.レギュラーシーズンを描ききって,さぁクライマックスシリーズだというタイミングで正直に感じたのは,「え,もう2時間くらい経ってるんじゃないの?尺足りるの?」という満腹感だった.あぁ,ポストシーズンって良いもんだな,と改めて思った次第.

さて,こんな大作を世に送り出してしまったベイスターズだが,間をほとんど開けずに三浦大輔の引退を記念した『永遠番長』ドキュメンタリーが発売される.どのような方向で私達を驚かせてくれるか,今から注目である.

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