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【#Baystars】首位攻防戦が始まったからこそ思い出したくて『4522敗の記憶』を読み返した

「単独首位」という言葉の甘美な響きを堪能し,勝って兜の緒を締めよとベイスターズが首位攻防戦第一ラウンドに臨んだ4月10日の夜,僕は思い出したくてこの本を引っ張り出してきた.

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優勝した1998年の記憶, そこからマシンガン打線が一気に解体する様子, 振り返って大洋ホエールズの誕生, 三原魔術による初の日本一, 山下大輔の入団, 横浜スタジアムへの移転と遠藤,斉藤のダブルエース時代, 横浜ベイスターズの誕生と98年優勝メンバーの萌芽, 少し時代が飛んで TBS への身売りと暗黒時代, そして DeNA になってから…

脈々と続く歴史をなぞる中で,「漁師気質」と著者が形容する独特の価値観や雰囲気.良くも悪くも一つの畝に乗ったファミリーであった.面倒見は良いかもしれないが,厳しいことをいう嫌な顔をされるような空気.それがいつまでも勝ち切れないベイスターズの根幹だ,という著者の考察には頷かされるところがある. そしてチームの浮沈を決定的に握っているのが編成,人事であること.98年の優勝メンバーの中核を築き上げたのが古葉監督とともにチームに入ったスカウトたちであること,横浜低迷のターニングポイントは森祇晶監督という「ミスキャスト」であること,そして2000年代後半に相次いだ「不可解なトレード」や「出すべきでない選手の放出」.

さて,この本が著されたのは2013年の春だったが,翻って今のベイスターズはどうだろう. 中畑清監督のリーダーシップは年を追うごとに進化しているように見え,チームを締めるところはしっかり締めているように思える. 編成も見違えるように成果が上がっている.これは高田繁 GM の手腕によるところが大きいだろう.ドラフト戦略,外国人獲得,ファームでの選手育成など,チーム全体で一貫して動けるようになっているのは,これまでのベイスターズ史に無い大きな一歩だと思える. 今のベイスターズに自分が何となく高揚感を覚えているのは,これまでに無かった「再現性のある成功」を追い求めるための足場固めがちょっとずつ出来ており,それが実を結んで下馬評を覆すような戦いぶりが今のところできているからんだな,と実感できた.

書名しか知らないベイスターズファンはもちろん,一度読んで本棚にしまったままのあなたも,もう一度読み返してみてはどうだろう.

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史

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