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筋書きはなく,伏線がある - ベイスターズ 2018年開幕に寄せて #baystars

「野球は筋書きのないドラマだ」とよく言われる.しかし,私はこう思う.確かに筋書きはない.しかし,確実に伏線はある.

横浜DeNAベイスターズが2018年の開幕前夜に公開した映像を見たときに,自分が最初に思った感想だ.

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冒頭の日本シリーズ敗退のシーンは,昨年発売された映像作品の最後の場面だ.映像にエフェクトがかかっているとはいえ,ナレーションもそのままなら,カットも同じだ.

ec.baystars.co.jp

ポストシーズンに進出するようになったベイスターズの発表するシーズンオフの映像作品「FOR REAL」シリーズは,誰もが知っている筋書きの裏にあった,ファンの知らない伏線を次から次へと拾い,その意味を確かめるための作品であるとも言える.
その映像作品の誰もが知っているクライマックスを記した部分など,インターネットでそのまま流しても FOR REAL の価値は何も毀損されないということなんだなぁ,と,しみじみ思った.


新しいシーズンがやってくる.ファンの誰もが「これでもか」というほど味わった2017年という筋書きの,どの部分が2018年という物語の伏線になるのかは,誰も知らない.

日本シリーズ第6戦,サヨナラの生還を防ぐべく梶谷隆幸が投じた本塁への送球は,捕手嶺井博希の手前でワンバウンドして,不規則に跳ねた.
FOR REAL では,ヤフオク!ドームでの日本シリーズ前の公式練習におけるシートノックにて,外野手の送球を受ける際に「うわっ,(土の部分が) 跳ねる!」と嶺井が口にするシーンが映されている.イレギュラーバウンドしたバックホームが頭上を通過したとき,嶺井はあのシートノックは頭にどう過ぎったのだろうか.
「正捕手は戸柱」と決まって始まった2017年,嶺井はまさに「積み上げたものをプレーで示し」,シーズン後半戦での幾多の先発出場を勝ち取った.2018年,ラミレスは「シーズン序盤は戸柱と嶺井を併用する」方針を明言した.嶺井が存在感を示していることも去ることながら,"シーズン序盤は" と注釈をつけたことがこれまでのラミレスの発言には無かった異例な点であり,2018年のチームにある厳しさの側面をうかがわせる.ファームで待機する高城俊人も含め,今年はどんな競争と協調が繰り広げられるのだろう.

タイガースから大和が加入することで,遊撃から二塁に移る倉本寿彦ばかりが注目される.その一方で,2017年の夏場から二塁手のポジションをがっちり掴んで離さなかった柴田竜拓は,試合終盤の交代で二塁の守備に入るような起用が予想されている.
昨年,6月に脇腹の怪我で離脱した後,筒香からかけられた言葉を胸に一段とたくましくなって躍動した一軍こそが,柴田にとって「必ず戻ると誓った舞台」だった.高田繁GMやラミレス監督が大和を「優勝のためのラストピース」と称したことを,結果的に押し出された柴田はどう思っているのだろう.


新しいシーズンがやってくる.ファンの誰もが「これでもか」というほど味わった2017年という筋書きの,どの部分が2018年という物語の伏線になるのかは,誰も知らない.
伏線は選手の数だけではなく,選手と選手の間にも無数にあれば,選手の姿を見届けるファンの目線の数だけあるとも言える. 明らかになる誰も知らなかった筋書きの証人のひとりとなり,また自分が新しいドラマのスポットライトをあてながら野球を楽しめる喜びを感じながら,ベイスターズファンとしての2018年を送れればいいなと思っている.